初フルマラソンを走って思ったこと (後編-2)
<40キロ~42.195キロ>
上り坂を登りきって、ついに限界を迎えた。もう走れない。走りたくない。
コースの端に寄って、ストレッチをしたり、パンパンに張った筋肉をマッサージしてみるがほとんど何の効果も無い。
さらには足の裏に着地するたび激痛が走るようになった。
それでもなんとか走り続ける。もはや走るスピードではなかったと思うけど、歩くのはいやだった。
しかし、残り2キロの看板が見えたとき、走り続けることが出来なくなり、ついに歩いてしまう。
もういやだ。もうなにもかも放り出して座り込んでしまいたい。何で俺はこんなことをやってるんだ。
そんなことを考えながら歩き続ける。
タイムはまだ目標の5時間までには余裕があったし、このまま歩いてゴールしても間に合うだろうとも思ってしまった。
それにしても長い。残り2キロ地点を過ぎてから大分歩いた気がするのに残り1キロの表示が見えてこない。
果てしなかった。
エスプラネードシアターの前に残り1キロの看板があって、最後の1キロは走りぬこうと自分を奮い立たせた。
最後の1キロはずっと「あとちょっと、あとちょっと」とつぶやきながら走っていた。
フラトンへ続く橋を渡り、左折するともうゴールは目の前といった感じ。
最後の力を振り絞ってペースを上げる。
ついに最後の直線。目の前にゴールゲートが現れた。ゲートが見えた瞬間ついに俺は42キロを走りきるんだという思いにこみ上げてくるものがあった。
ゴールゲートをくぐった瞬間、圧倒的な達成感に包まれ、なんでみんなが42キロもの距離を好き好んで走るのかが分かった気がする。
それと同時に今まで酷使した体からの不満の声が一斉に飛び出してきて、なんだかどこにぶつけようも無い苛立ちのようなものも感じた。思わず叫んでしまったくらい。
本当に辛かったけど、でも楽しかった。
今まで何かをはっきり達成したことって、そういえば無かった気がして、42キロ走りきったことで自分に自信が持てた気がした。
これからも走り続けることに決めた。